フィンランドの学校教育の本を読んでびっくりした


図解 フィンランド・メソッド入門

 県立の図書館に行ってきてめぼしそうな本をだらだらと目的なく探していたところ、
教育関連の棚がフィンランド祭りになっていた。なんでこんなに集っているんだろうというくらいフィンランドだったので一冊、かんたんそうなものを借りてみたが、これまた興味深いことばかり書かれているのでまとめておく。

フィンランドについてかんたんにまとめ〕
 フィンランドは上のほうがラップランドラップランドはサンタクロースとトナカイの国。ラップランドのトナカイは野生(ノラ)ではなく登録制。すべてに飼い主が居て耳のところに飼い主を示す印がつけられている。
(登録タグでもついているのかな?)トナカイの登録主は先住民族サーミ人(→伝統衣装の色合いはタイの先住民風)サンタ村ではサンタさんが世界中の子供たちからの手紙に返事を書いている。

 税金は高いけど、医療費と教育費が掛からない(→大学までタダで行けるってどっかで読んだ)まあわかりやすく言うと、ムーミンマリメッコイッタラノキアの国。

OECDの学習到達度で1位になった国なので世界で一番教育水準が高い?〕

・グローバルコミュニケーション能力が高い
・ではどのようにしてフィンランドは子供を教育しているのか?

 まあ読解力が異様に高い子供が多い国であるということらしい

本書によると、日本式の空気読めはまったくもって悪しき慣習であり、
知ってて当たり前的なところは徹底的に、省略させるというのが
グローバルコミュニケーション力の欠如することのもっともな原因であるらしい。
まあ日本で通用しても世界で通用しねえよってことらしいのだが、
この本が強調しているところであるようだ。
著者はフィンランドで駐在員をしていた方のようで、その時の話もいろいろ書かれている。


(本文より引用)
つまり、相手がどこの誰であろうと、自分の言いたいことを理解させる能力。
そして相手がどこの誰であろうとその言うことを理解する能力。
(引用終わり)
この能力が高くないと真のグローバリズムは育たないということのようです。
まあ、日本から出なきゃいいんだけど、そうも言ってられないし、
声高に主張したいことだってあるかもしれないじゃないかって意味で
持ってて損はない能力ではある。

で、フィンランドの国語の授業の大まかな流れは以下のような感じ。

(基礎)
1 発想力の養成
2 論理力の養成
3 表現力の養成
(応用)
4 批判的思考力の養成
5 コミュニケーション力の養成


基礎 

発想力→カルタといわれるマインドマップを作る練習。
これを小学校3−4年で徹底的にやる。ええ!!どこのMBA?としか言いようがない。
そもそもマインドマップなんて言葉を知ったのは社会人になって給料もらうようになってからだよ?わたしは。。(ごめんなさい。自慢じゃないです。。。)

自 分のことや、出された御題から黙々とマインドマップ
小学校のときに、自分の長所を書きなさい。みたいなのが唐突にあって、書くのにかなり悩んだとダンナが言っていたけど、まあそういう練習を延々とさせる。そんでそのあとクラスのみんなでマインドマップ(カルタ)を作ってみたりするらしい。
これによっていろんな発想があるということを学ぶのだ。どんなに奇妙でも続けて枝を伸ばしてみたりするらしい。

これを分析の道具として使う。文章を読んでその内容を分析するときにカルタを使う。
分析と解釈の訓練をしながら、自分で物語を創作するための準備運動にもなる。

論理力
Miksi? ミクシ?(どうして?)

論理の回路(意見には理由)を徹底的に頭の中に作り上げる教育方法
正しい答えも間違った答えもどうしてそうなるのかを徹底的に教師が聞き返す、つまりなぜそうなるのかを説明できなければならないというプロセスが重要視される。
適当に答えたり、回答があっていてもどうしてそうなるのか説明できないと、教師の「どうして?(ミクシ?)攻めにあうのである。

表現力
しっかりした作文練習

日本でも指定語句を使って作る作文はあるけども指定数が圧倒的に多い。
10〜20の指定語句を全部使って一番短い作文をする。

 これは初読ではいっしゅんとまどったのだが、たぶんこういうことである。

 たとえば、

図書館 本 物語 おもしろい たいくつな 疑う 眠る 借りる 返す

↑上記の単語9個をすべてつかいなるべく短い文を組み立てる。

私は、「図書館」で「おもしろそうな」題名の「物語」の 「本」を「借りる」のが好きだ。しかし題名を「疑う」くらい眠い「眠る」「たいくつな」本のときもあるが、そういうときは最期まで読まずにすぐに「返す」。

というかんじ?で短い語句でつないでひとつの文章をつくる練習をするようだ。

また、作文を書くためのフォーマットが提示されて、それに従って作文をする。
日本のただ、作文を書きなさいという課題とちがい、意図した文章をきちんと表現させるためのメソッドが確立している。さらに、グループでひとつの物語を創作したり、学年を追うごとに高度な文章作成の課題へと進化していく。

 日本のようにある意味フリーダムな作文の授業では、得意な子は教わらなくてもできるのだが、そのまま放置してるだけなので普通の子はなかなか文章がかけるようにはならない。ある意味国語の授業がポエムな気すらしてくる。


高学年では、低学年できちんと繰り返し訓練した論理力と表現力を駆使して
批判的思考力の養成する。

自分の意見は自分の意見で、友達の意見は友達の意見ということを、班の活動でディスカッションして学ぶ、まず、良いところを10個、悪いところを10個あげたり、熱心に意見を交換する。(←もちろん、ディスカッション時には最低限の決まりがある。泣かない、怒らない、授業が終わってからその話をしない。とか。。。}
また、班長はみんなが順番に必ず経験するので、日本みたいにまとめるのは学級委員。みたいな継続的な役割分担(あるいみキャラクター付け)がなくなる。←つまりどの子にもある程度の、班をまとめるスキルを身につけることができるメリットがある。

で、この班の活動でみんなでディスカッションしながら作文をまとめたりするそうだ。(つか、先日某国立大学で行われた仕分けに対する反論のための有識者会議より、ある意味合理的かつ、分かりやすい作文(声明文)ができそうだよ。)
↑常に的確な意見をまとめる訓練を個人でも集団でも継続して練習をするのが、フィンランドの国語の授業なんだ。

また、この批判的思考力は、自分の思い込みを「ほんとうにそうかな?」と考えてみるための訓練もする。これは、必要な情報を見極めるのに有効だ。
算数の文章題を国語の授業で解くことも多いようだ。
相手の話から必要な情報を取り出すことができないと、「話が見えない」という状況になってしまうからだそうです。 まあ もっともです。
 算数の文章題は、要するに読解力がないために、問題が何を意図しているのかわからないから解けないという状況になる。計算力ではなく読解力の欠如が残念な結果を誘導しているのだ。

コミュニケーション力の養成

コミュニケーション力は、先ほど出てきた班活動のディスカッションでの応用でもある。
その班活動のディスカッションのルールには、

「相手の話をさえぎらない」
「話すときはだらだらしゃべらない」
「わからなかったらすぐに質問する」
「話を聞くときは話している人の目を見る」
「話を聞いているときはほかのことをしない」
「最期まで話を聞く」
「どんな意見でも間違いと決めつけない」
「議論が台無しになるようなことを言わない」
「議論が終わったら、議論の話はしない」

↑必要に応じて付け加えていくということなんですが。。。
 これ、みんな小学校の班のルールですよ。どんなビジネス書なんだよって内容です。
私は、このルールを日本の討論番組で守れる人を見た事ありません。

また、このコミュニケーション力の養成は 「相手の立場になって考える」と、この応用として、自分と違う意見に対処する方法を身につけることにも一役買うのだそうです。

 まとめるにあたって2度ほど読み返しましたが、スゴイね!フィンランドの学校。
こういうの小学校で習ってるなら。それこそ、日本で売られてる自己啓発とか、弱そうなビジネス書なんかいらないじゃない?っていう感じです。そんなの大人が読む本じゃないよっていうのばっかりな気がする。

ざっとフィンランド教育の手法をまとめてきましたが、
フィンランドは学ぶことにお金のかからない国です。
(行ったことないですけど)

 筆記具から教科書から学校のを使うから、テキストとかぼろぼろでやってらんないみたいということも反面ではあるみたいです。
以前、どなたかのブログで読んだ覚えがあります。
でも、どうなんだろ?教科書が新しいから頑張るってわけでもないじゃないですか。。。
まあ答えとか書いてあったら残念だけど。。。
読めないくらい汚れているっていうのなら問題だけど。


まあそこにはどういう教育方針でみたいなことは書いてなかったしなーという感じで
要は内容でしょ?と思うのですよ。


個人的には大賛成なのですが、フィンランド式。。。
自分の子供にどうやってこのスキルを身につけさせるかってのが問題ですね。
だって日本だもん。

私の読んだフィンランドメソッド入門を編集しているフィンランドメソッド普及会では、フィンランドの教科書も日本語化していらっしゃるようです。

興味もあるので後々取り寄せてみようと思っています。
やー。図書館でタダで借りたけどよい本だった。
まとめちゃったからもう読まなくていいし。
フィンランドメソッド普及会の人。ごめんなさい。そしてありがとう。
教科書はしかるべき段階で子供に買いますので、許してください。
そしてよろしくお願いします!